根岸さんという青年は、最近、京都にあるおじの家の二階から飛び出した。
これは、たとえで言っているのではなくて、本当に根岸さんはその家の二階の窓から飛び降りて、その後、痛む足を引きずりながら市内の友人の下宿に転がりこんだのである。
どうしてまた、彼はそんな危険な真似をしなければならなかったのか?
それは以下の通りである。
ある日、親しく話す機会さえなかったおじが、突然電話をかけてきた。
なんでも、大学で教授をしているそのおじが、突然海外にフィールドワークで出かけることになり、その間の家の管理を頼みたい、ということであった。